top of page

美女が愛した柄
Pattern Beloved by Beauty
遡ること江戸時代、華やかな遊女の世界の中で絶世の美女と称された人物がいました。
その名も「吉野太夫」。彼女は小さい頃から妓女の見習い・世話係である「禿(かむろ)」として妓楼に入り、14歳で妓女として最高の位である太夫になったといわれています。太夫とは当時の人々の憧れであり、ひときわ優れた美貌や才能、人格を持ち合わせたほんの一握りの遊女だけに許された称号でした。注目の的であった彼女には様々な逸話が残っており、和歌や琴、茶道に華道など様々な道を極めていたほか、寝床から寝乱れ姿で出て来たにも関わらず圧倒的な存在感を放ったと言われるほどの美貌をも備えていたと記されています。
そんな吉野太夫が愛したとされる柄が、この「吉野格子」。和柄ながらもどこか洋のテイストも感じられる織りが特徴的です。
色鮮やかな組み合わせと複雑な模様が織りなす格子が印象的ですが、これはベースとなる色の部分を平織りし、そこに複雑な細帯状の織りを格子になるように織り込んでいくことで生まれます。吉野格子にも様々な柄があるのですが、特にこの吉野格子を柳悦孝氏(民藝運動の中心人物、柳宗悦の甥)がとても気に入ったため、別名「柳格子」とも呼ばれています。

この吉野格子は、刺し子織によって作られたもの。日本で唯一刺し子織を継承している福島県の美和織物の大狭氏によって作られています。(刺し子織の詳しい説明はこちらへ)
旧式の織り気を使って丁寧に、少しずつ織られた生地からはなんとも言えない風合いと味わいが感じられます。
美しく洗練された存在感を放つ吉野格子を存分楽しんでもらうべく、生地が主役になるような、それでいて普段使いしやすいアイテムに落とし込みました。吉野太夫に想いを馳せつつ、ぜひこの美しさを堪能してください。
bottom of page