運命のいたずら

A Quirk of Fate

鹿児島県、奄美大島で行われている天然の染色方法である泥染め。

泥に浸して染める、というなんとも意外な染色方法ですが、この染めが生まれた背景にはある逸話が。江戸時代のある日、奄美大島の特産品である大島紬を作っていた人が年貢として収めることから逃れるために田んぼの中に隠し、後日紬を取り出してみると綺麗な黒に染まっていたという偶然から始まった染めだと言われています。


 

「偶然の産物」とも言える泥染めですが、ただ泥田の中に浸せば完成ではなく、実はとてつもない手間と時間がかかる染色方法なのです。

泥染の工程には2つあり、まず「テーチ木染め」という作業が行われます。テーチ木染めとは車輪梅(シャリンバイ、奄美では「テーチ木」と呼ばれています)と呼ばれる奄美大島原産の木の枝を煮込んで抽出した汁に、生地を漬け込む作業のこと。これを20-30回ほど繰り返し、まんべんなく汁が行き届くようにします。

このテーチ木染めの後、いよいよ「泥染め」に移ります。

泥田に生地を漬け込み全体に馴染むように何度も染める作業なのですが、この工程を経るうちに泥に含まれる鉄分とテーチ木のタンニン酸と化合して黒へと変化していきます。これは奄美大島の泥田に多くの鉄分が含まれているからこそ可能なこと。奄美には鉄分を多く含んだ150万年前ほどの古代層があり、それが染色に適した泥田となって地上に現れているのです。
 

目指す色に近くなるまで、この泥染めの工程を何十回も繰り返していきます(薄い茶色で30回ほど、濃い茶色で60回ほど)。職人のこうした熟練した作業を経て、深みのある光沢が出てきてなんともいえない味わいのある生地へと変化して行くのです。

KUONの泥染めは高い技術とセンスを持つ金井工芸さんにお願いしています。
柔軟な考えを持っている金井さん。泥染という伝統的な染めながら新しいことにチャレンジしている姿は
「伝統を生かしながら現代のシーンに映える服を作り出す」というKUONのものづくりの精神と重なり、お互いがお互いの表現方法を楽しみ、そして刺激し合う関係性が生まれています。
使っていくうちに色が落ちていき、自分だけの一着になるのも泥染の楽しみの一つ。ぜひその過程も楽しんでみてください。

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