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パラレルワールド
Parallel World
KUONの代表的な生地であり顔でもある、「襤褸(ぼろ)」。
名前の通り、使い古して役に立たなくなった布やぼろぎれ、着古して破れたりつぎだらけの衣服のことを言います。
モノが溢れかえる今から遡ること150年以上前、木綿布は庶民にとって貴重なモノでした。
特に地方の海浜や山間地に暮らす農民には高嶺の花であったため東北の寒冷地などでは、重ねた麻布に「刺し子」と呼ばれる刺繍を施し、厚みを出すことで寒さをしのいできました。薄くなればまた麻布を重ね刺し子をし、汚れが気になれば藍染をしたりと、あらゆる知恵を使って長い間大切に使い、決して無駄にすることなく次の世代へと繋いでいきました。そうしてさまざまな生地や模様が、家族の歴史や記憶とともに複雑に絡み合い、他に類を見ない美しさを放ってきたのです。こうした日本の美意識と圧倒的な見た目が相待って、現在欧米を中心に襤褸はアートの一部として楽しまれるようになりました。

一言で「襤褸」と言っても、実はたくさんの”種類”があります。その襤褸がどんな時間の経過をたどってきたのか、その違いで色や表情が全く変わってきます。また、中にはストライプ柄など、その襤褸を作った昔の人々のちょっとした遊び心や美意識が垣間見られるものも。たどってきた時間、持ち合わせる物語の違いが一つ一つの襤褸に味わい深い表情を与え、それがまた見る人の心を魅了し続けているのです。
そんな違う表情を持つ襤褸を組み合わせて作ったのがこのシャツ。一枚のシャツの中でもところどころで絶妙に色や表情が違い、様々な時間の経過や世界観が共存している様子は圧倒的な存在感を放っています。「時」という概念にとらわれない普遍的な美しさをぜひ感じてください


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